貸渡証の記載事項は、
受付のどこで確定するのか
「貸渡証に何を書くか」は、行政書士の方々の解説がすでに十分に整っています。項目を数えるだけなら、通達の別記2を見れば済みます。それでも現場で貸渡証が完成しないことがあるのは、項目を知らないからではなく、それぞれの項目が業務のどの時点で決まるのかが整理されていないからです。
この記事では、記載事項を「何を書くか」ではなく「いつ決まるか」で並べ替えます。通達の原文は国土交通省が公開しているPDFから引用し、確認日を明記しました。あわせて、私たち自身がレンタカー営業所を運営しながら貸渡証の発行機能をつくる過程で、実装上どう判断したかも書いています。
- 貸渡証に書く7区分(通達 別記2の原文)
- 貸渡証と貸渡簿は、5項目が同じである
- 記載事項が確定する4つの段階
- 空欄が残るのは、たいてい配車がまだだから
- 住所と免許証番号の扱い
- 紙でなくてよい、という通達の文言
- 走行距離と料金が貸渡証に無い理由
- レンタゲートが行うこと・行わないこと
貸渡証には何を書けばよいですか?
通達の別記2が、7区分を定めています。借受人、運転者、貸渡自動車の登録番号、貸渡日時、事務所、貸渡人、そして遵守事項の4文言です。様式そのものは定められていませんので、7区分が記載されていれば書式は各社の裁量です。
根拠は、道路運送法第80条第1項の許可(いわゆるレンタカー許可)の取扱いを定めた通達です。国土交通省が公開しているPDFから、別記2をそのまま引きます。
〔別記2〕貸渡証の記載事項については、次のとおりとする。
ア 借受人の氏名又は名称及び住所
イ 運転者の氏名、住所、運転免許の種類及び運転免許証の番号
ウ 貸渡自動車の登録番号又は車両番号
エ 貸渡日時及び時間
オ 貸渡事務所、返還事務所
カ 貸渡人の氏名又は名称及び住所
キ 次の遵守事項
キの遵守事項は、次の4つを記載するよう定められています。文言はほぼ固定です。
- 運行中必ず携帯し、警察官又は地方運輸局若しくは運輸支局の職員の請求があったときは、呈示しなければならない旨
- 自動車の借受けに付随して、貸渡人から運転者の労務供給(運転者の紹介及び斡旋を含む。)を受けることができない旨
- 貸渡自動車に係る事故及び故障等が発生した場合の処置(処置方法、連絡先等)に関する記載
- 貸渡期間が2日以上となる場合には、日常点検を借受人が実施することとなる旨
3つめだけ、他と性質が違います。他の3つが決まった文言であるのに対し、事故・故障時の連絡先は各社の電話番号です。ここは会社情報として一度登録しておく項目になります。
貸渡証と貸渡簿は、何が違うのですか?
最初の5区分は同じです。借受人・運転者・登録番号・貸渡日時・事務所は、別記1(貸渡簿)と別記2(貸渡証)に共通して並んでいます。受付で5項目を一度確定させれば、2つの書類の土台が同時に埋まります。
2つの別記を並べると、重なりと差がはっきりします。
| 記載事項 | 貸渡簿(別記1) | 貸渡証(別記2) |
|---|---|---|
| 借受人の氏名・住所 | ア | ア |
| 運転者の氏名・住所・免許の種類・免許証番号 | イ | イ |
| 貸渡自動車の登録番号 | ウ | ウ |
| 貸渡日時及び時間 | エ | エ |
| 貸渡事務所・返還事務所 | オ | オ |
| 運行区間・人数・使用目的 | カ(自家用マイクロバスのみ) | — |
| 走行キロ数 | キ | — |
| 貸渡料金 | ク | — |
| 事故に関する事項 | ケ | — |
| 貸渡人の氏名・住所 | — | カ |
| 遵守事項(4文言) | — | キ |
読み方。色の付いた5行が、2つの書類で共通する部分です。「—」は、その別記に列挙されていないことを示します。別記1・別記2の原文は同一の通達の末尾にあり、2026年9月3日に確認しました。
差を言葉にすると、こうなります。貸渡証はお客様にお渡しする書類なので、貸渡人が誰かと、守っていただく事項が要ります。貸渡簿は営業所に残す記録なので、終わってからでないと分からない走行キロ数・料金・事故の有無が要ります。
記載事項は、いつ確定するのですか?
4つの段階に分かれます。会社情報は最初に一度だけ。借受人と日時と事務所は予約が入った時点。運転者と免許証は事前チェックインまたは受付時。そして登録番号は、配車をして初めて決まります。
-
最初に一度だけ ── 会社情報
- カ 貸渡人の氏名または名称および住所(営業所の登録情報)
- キ(ウ) 事故・故障時の連絡先(会社の電話番号)
ここは予約ごとに変わりません。逆に言えば、会社の住所を登録していない状態では、すべての貸渡証で同じ欄が空きます。最初に一度だけ確認しておく場所です。
-
予約が入った時点 ── 借受人と枠
- ア 借受人の氏名
- エ 貸渡日時および時間
- オ 貸渡事務所・返還事務所
予約サイトからの通知でも電話でも、この3つはこの時点で分かります。乗り捨てがある場合、返還事務所が貸渡事務所と違う点にご注意ください。
-
事前チェックイン、または受付時 ── 運転者
- イ 運転者の氏名
- イ 運転免許の種類・免許証の番号(後述のとおり、免許証の写しで扱っています)
借受人と運転者は同じとは限りません。予約者と実際に運転する方が別、あるいは運転者が複数という場面は珍しくありません。来店前に受け取れれば、カウンターで書いていただく時間がそのまま減ります。
-
配車をした時点 ── 車
- ウ 貸渡自動車の登録番号または車両番号
ここが最後です。予約の時点で決まっているのは車種やクラスであって、どのナンバーの車を出すかではありません。配車をして初めて、貸渡証に書く番号が決まります。
遵守事項キの(ア)(イ)(エ)は、業務と関係なく固定の文言です。段階に登場しないのは、そのためです。
貸渡証に空欄が残るのは、なぜですか?
最後まで決まらない項目が、車の登録番号だからです。印刷しようとして番号欄が空いている場合、それは書類の不備というより、配車がまだ済んでいないというお知らせだと考えてください。
私たちがレンタゲートに貸渡証の機能を実装したとき、ここで一つ判断をしました。車両マスタの値で番号欄を埋めない、という判断です。
理由は単純で、車両マスタには実運用のなかで仮の名前や整理用の値が混ざることがあるからです。それを法定の書面に印字してしまうと、正しくない番号が記載された貸渡証がお客様の手に渡ります。空欄であれば「まだ決まっていない」と読めますが、誤った番号は誤りだと気づかれません。そこで、配車で確定した番号だけを印字し、確定していなければ空欄のままにすることにしました。
この判断は、書類の話ではなく運用の話です。貸渡証が完成しない営業所の多くは、書類の書き方でつまずいているのではなく、配車という工程が受付から切り離されて残っていることが原因です。番号欄は、その切り離しが可視化される場所だと言えます。
借受人と運転者の住所は、どのように扱っていますか?
レンタゲートでは住所の文字列を収集していません。住所欄には「添付の運転免許証の写しのとおり」と記載し、事前チェックインで受け取った運転免許証の画像を証書に並べる運用にしています。免許の種類と番号も同じ扱いです。
別記2のアとイは、住所と免許証番号を記載事項として挙げています。これを文字で入力していただく方式にすると、外国からのお客様を含めた入力の負担が増え、しかも転記の誤りが生まれます。免許証の写しが証書に添えられていれば、住所も免許の種類も番号も、そこに記載されています。
これは当社の運用上の判断であり、通達が定める記載方法そのものではありません。運用の是非は各社でご確認ください。記事に書いているのは、私たちが自社の営業所でどう扱っているかです。
貸渡証は紙でなければいけませんか?
紙でなくても構いません。通達は交付について「書面(電子メール等の電磁的方法を含む。)により交付し」と定め、携行についても「携行(電磁的記録による携行を含む。)するように指示しなければならない」と定めています。
(11)レンタカー型カーシェアリングの場合を除き、借受人には、別記2の事項を記載した貸渡証を書面(電子メール等の電磁的方法を含む。)により交付し、貸渡自動車の運転者にこれを携行(電磁的記録による携行を含む。)するように指示しなければならない。
同通達 2.(11)。2026年9月3日に国土交通省公開のPDFで確認。つまり、PDFやリンクでお渡しし、お客様のスマートフォンで携行していただく形が、通達の本文で認められています。2枚複写の用紙に手書きする運用が業界の標準として長く続いていますが、電子でなければならない決まりも、紙でなければならない決まりも、どちらもありません。
走行距離と料金は、貸渡証に書く必要がありますか?
貸渡証には必要ありません。走行キロ数と貸渡料金は、別記1が定める貸渡簿の記載事項です。どちらも返却の処理をして初めて確定する数字なので、出発時点でお渡しする貸渡証には載りません。
ここに、法定書類のもう一つの時間軸があります。貸渡証は出発までに完成する書類で、貸渡簿は返却が終わって初めて完成する記録です。同じ5項目を共有していながら、完成する時点が違います。
そして貸渡簿には、保存の定めがあります。
(10)別記1の事項を記載する貸渡簿を書面又は電磁的記録により備え、貸渡しの状況を適確に記録するとともに、貸渡しの終了日から2年間保存しなければならない。
同通達 2.(10)。2026年9月3日に国土交通省公開のPDFで確認。2年間という期間には、続きがあります。同じ通達の(12)は、前年4月1日から3月31日までの期間に係る貸渡実績報告書(様式1)と、3月31日時点の事務所別車種別配置車両数一覧表(様式2)を、毎年5月31日までに運輸支局長あて提出するよう定めています。日々の返却処理で残した数字が、年に一度の報告の材料になります。
レンタゲートでは、どういう流れになりますか
ここまでの段階を、そのまま画面の流れに置いています。
- 予約は、予約サイトからの通知メールを解析して取り込みます。電話・店頭の予約は手動で登録できます。この時点で借受人・貸渡日時・事務所が入ります
- 事前チェックインのリンクまたはQRコードをお客様にお渡しし、運転者の氏名と運転免許証の画像を来店前に受け取ります。アプリのインストールもログインも不要です。運転者は最大4名まで登録できます
- 配車で車両を割り当てると、登録番号が決まります
- 貸渡証はスタッフの端末から発行し、その場で印刷するか、チャットからPDFでお渡しします。発行時点の内容は控えとして保存され、あとから予約が変わっても交付した内容を再現できます
- 出発前のチェックとして、メーター・燃料・車両状態の写真・お客様の電子署名を、同じ画面で記録できます。すべて任意で、入力せずにそのまま印刷することもできます
レンタゲートは、スタッフが持つ端末を主な操作端末にしたレンタカーの現場運用システムです。受けた予約を1つの画面に並べ、事前チェックイン・配車・出庫返却・貸渡証の交付までを1台で扱います。1営業所あたり月額30,000円(税別)、初期費用0円、最低契約期間はありません。
製品ページを見る →レンタゲートが行わないこと
書類まわりで、はっきりさせておきます。
- 運転免許証の文字の自動読み取り(OCR)と顔認証による本人確認は行いません
- 貸渡簿そのものの出力機能は、現時点では提供していません。走行キロ数を記録する欄は貸渡証にありますが、別記1の様式で一覧を出力する機能ではありません
- 運輸支局へ提出する貸渡実績報告書・事務所別車種別配置車両数一覧表の作成は、レンタゲートでは行いません
- 外部販売サイトへの在庫の反映も行いません。こちらは別製品のレンタコネクトが担当します
よくある質問
通達の別記2が7区分を定めています。ア借受人の氏名または名称および住所、イ運転者の氏名・住所・運転免許の種類・運転免許証の番号、ウ貸渡自動車の登録番号または車両番号、エ貸渡日時および時間、オ貸渡事務所・返還事務所、カ貸渡人の氏名または名称および住所、キ遵守事項の4文言です。様式そのものは定められていないため、7区分が記載されていれば書式は各社の裁量です。
最初の5区分は同じです。借受人・運転者・登録番号・貸渡日時・事務所は、別記1(貸渡簿)と別記2(貸渡証)に共通して並んでいます。違いは、貸渡証にだけ貸渡人の氏名住所と遵守事項があり、貸渡簿にだけ走行キロ数・貸渡料金・事故に関する事項があることです。つまり受付で5項目を一度確定させれば、両方の書類の土台が同時に埋まります。
4つの段階に分かれます。会社情報(貸渡人の氏名住所・事故時の連絡先)は最初に一度だけ。借受人の氏名・貸渡日時・事務所は予約が入った時点。運転者の氏名と免許証は事前チェックインまたは受付時。そして貸渡自動車の登録番号は、配車をして初めて決まります。遵守事項の4文言だけは業務に関係なく固定です。
最後まで決まらない項目が車の登録番号だからです。予約の時点では車種クラスしか決まっておらず、どのナンバーの車を出すかは配車をして初めて確定します。印刷しようとして番号欄が空いている場合、書類の問題ではなく、配車がまだ済んでいないというお知らせだと考えてください。
紙でなくても構いません。通達は交付について「書面(電子メール等の電磁的方法を含む。)により交付し」と定め、運転者の携行についても「携行(電磁的記録による携行を含む。)するように指示しなければならない」と定めています。電子メールやリンクでの交付と、スマートフォン画面での携行が、通達の本文で認められています。
レンタゲートでは住所の文字列を収集せず、貸渡証の住所欄に「添付の運転免許証の写しのとおり」と記載したうえで、事前チェックインで受け取った運転免許証の画像を証書に並べる運用にしています。免許の種類と番号も同じ扱いです。これは当社の運用上の判断であり、通達が定める記載方法そのものではありません。
貸渡証には必要ありません。走行キロ数と貸渡料金は、別記1が定める貸渡簿の記載事項です。どちらも返却の処理をして初めて確定する数字であるため、出発時点の貸渡証には載りません。レンタゲートでは実務上の便宜として、出発メーターと帰着メーターの欄を貸渡証に設けています。
貸渡しの終了日から2年間です。通達は「別記1の事項を記載する貸渡簿を書面又は電磁的記録により備え、貸渡しの状況を適確に記録するとともに、貸渡しの終了日から2年間保存しなければならない」と定めています。書面でも電磁的記録でも構いません。
運転免許証の文字を自動で読み取る機能(OCR)と顔認証による本人確認は行いません。貸渡簿そのものの出力機能も、現時点では提供していません。運輸支局へ提出する貸渡実績報告書と事務所別車種別配置車両数一覧表の作成も、レンタゲートでは行いません。
出典
法令の引用は、2026年9月3日に国土交通省が公開しているPDFで確認しました。
- 国土交通省 自旅第138号「貸渡人を自動車の使用者として行う自家用自動車の貸渡し(レンタカー)の取扱いについて」(平成7年6月13日/一部改正 国自旅第55号 令和4年5月31日、令和4年6月1日以降に許可するものから適用) https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001485360.pdf
本記事は法令の解説を目的としたものではなく、記載事項が業務のどの時点で確定するかを整理したものです。許可の要件や個別の運用の可否については、管轄の運輸支局または行政書士にご確認ください。