貸渡簿の走行キロと料金は、
返却処理でしか確定しない
貸渡証は、お客様が出発するまでに完成します。貸渡簿はそうではありません。記載事項の9区分のうち3つは、貸渡しが終わるまで決まらないからです。走行キロ数・貸渡料金・事故に関する事項の3つです。
前の記事では貸渡証の記載事項が受付のどこで確定するかを整理しました。この記事はその続きで、返却が終わって初めて埋まる側を扱います。通達の原文は国土交通省が公開しているPDFから引用し、確認日を明記しました。あわせて、記録を落とした月が翌年の報告にどう響くかを、私たちの集計処理の実装から具体的に書いています。
- 貸渡簿に書く9区分(通達 別記1の原文)
- 貸渡証との違いは、終わり方にある
- 走行キロ数と貸渡料金が確定する時点
- メーターを記録しなかった月に起きること
- 紙か電磁的記録か、貸渡原票という選択肢
- 2年保存の起算日は「貸渡しの終了日」
- 事故に関する事項の扱い
- レンタゲートができること・できないこと
貸渡簿には何を書けばよいですか?
通達の別記1が、9区分を定めています。借受人、運転者、登録番号、貸渡日時、事務所、マイクロバスの場合の運行区間、走行キロ数、貸渡料金、事故に関する事項です。貸渡原票を綴ったもので、貸渡簿に代えることもできます。
〔別記1〕貸渡簿(貸渡原票を綴ったものによって、貸渡簿に代えることができる。)の記載事項については、次のとおりとする。
ア 借受人の氏名又は名称及び住所
イ 運転者の氏名、住所、運転免許の種類及び運転免許証の番号
ウ 貸渡自動車の登録番号又は車両番号
エ 貸渡日時及び時間
オ 貸渡事務所、返還事務所
カ 運行区間又は行先及び利用者人数並びに使用目的(自家用マイクロバスの貸渡しを行う場合に限る。)
キ 走行キロ数
ク 貸渡料金
ケ 事故に関する事項
カは条件付きです。運行区間・行先・利用者人数・使用目的は、自家用マイクロバスの貸渡しを行う場合に限ると明記されています。乗用車だけを扱う営業所では、この区分は現れません。
貸渡簿と貸渡証は、何が違うのですか?
先頭の5区分は同じで、違いは終わり方にあります。貸渡証はお客様にお渡しする書類なので貸渡人と遵守事項が加わり、貸渡簿は営業所に残す記録なので走行キロ数・貸渡料金・事故に関する事項が加わります。
| 記載事項 | 貸渡簿(別記1) | 貸渡証(別記2) | 確定する時点 |
|---|---|---|---|
| 借受人の氏名・住所 | ア | ア | 予約 |
| 運転者・免許の種類・番号 | イ | イ | 事前チェックイン |
| 貸渡自動車の登録番号 | ウ | ウ | 配車 |
| 貸渡日時及び時間 | エ | エ | 予約 |
| 貸渡事務所・返還事務所 | オ | オ | 予約 |
| 運行区間・人数・使用目的 | カ(マイクロバスのみ) | — | 受付 |
| 走行キロ数 | キ | — | 返却 |
| 貸渡料金 | ク | — | 返却 |
| 事故に関する事項 | ケ | — | 返却(発生時) |
| 貸渡人の氏名・住所 | — | カ | 会社設定 |
| 遵守事項(4文言) | — | キ | 固定 |
読み方。「—」は、その別記に列挙されていないことを示します。「確定する時点」は法令が定めるものではなく、業務の順序から整理した当社の分類です。別記1・別記2の原文は同一の通達の末尾にあり、2026年9月3日に確認しました。
走行キロ数と貸渡料金は、いつ確定するのですか?
返却の処理をした時点です。走行キロ数は出発時と帰着時のメーターの差でしか出せず、貸渡料金は延長・追加補償・給油の精算まで終えて初めて決まります。貸渡簿は、出発時点では完成しません。
ここが貸渡証との決定的な違いです。貸渡証は「渡すまでに完成させる書類」で、渡した時点が締め切りです。貸渡簿は「終わってから完成する記録」で、締め切りが返却の後ろにあります。
実務では、この時間差が記録の抜けを生みます。出発はお客様が目の前にいるので必ず処理されますが、返却は鍵を受け取って車を置いた時点で終わったように見えるからです。メーターを見て数字を残す工程は、そのあとに残っています。
メーターを記録しなかった月は、どうなりますか?
翌年の貸渡実績報告書で、走行キロが実測ではなく推定に置き換わります。私たちの集計処理は3つの層を持っていて、実測が無い予約は同じ月の平均で、その月に実測が1件も無ければ既定値で埋まります。
年度の集計は、次の順で走行キロを決めています。
-
実測 ── その予約に出発と帰着の両方のメーターがある
貸渡証の現場記入で入力された数字を、そのまま使います。実測の出所は、ここだけです。ただし帰着が出発より小さい場合と、差が20,000kmを超える場合は、打ち間違いとみなして実測から外します。
-
平均 ── 無ければ、貸出開始月の1貸渡あたり平均
その月に実測が1件でもあれば、その平均を当てます。月に1件でも記録が残っていれば、その月全体の精度が保たれるという意味でもあります。
-
既定値 ── その月に実測が1件も無ければ、固定値
初期値は1貸渡あたり300kmです。ここまで落ちると、報告書の走行キロは実態と無関係な数字になります。営業所ごとに設定を変えられますが、変えたところで推定は推定のままです。
1件の入力が、その月全体を救います。毎回のメーター記録が理想ですが、現実には繁忙期に抜けます。それでも月に1件も実測が無い状態だけは避ける——これが、この3層構造から読み取れる実務上の最低ラインです。
貸渡料金も同じ構造です。予約に金額が入っていない件は集計から落ち、年度をまたぐ貸渡しは期間の日数で按分されます。返却時に精算した金額を残さなければ、報告書の総額はその分だけ小さくなります。
貸渡簿は紙で備える必要がありますか?
紙でなくても構いません。通達は「別記1の事項を記載する貸渡簿を書面又は電磁的記録により備え」と定めています。貸渡原票を綴ったもので貸渡簿に代えることもできます。
(10)別記1の事項を記載する貸渡簿を書面又は電磁的記録により備え、貸渡しの状況を適確に記録するとともに、貸渡しの終了日から2年間保存しなければならない。
同通達 2.(10)。2026年9月3日に国土交通省公開のPDFで確認。選択肢は3つあります。綴じた紙の帳簿、貸渡原票を綴ったもの、そして電磁的記録です。予約管理システムに9区分が揃って記録され、必要なときに取り出せる状態であれば、3つめに当たります。
貸渡簿は何年保存するのですか?
貸渡しの終了日から2年間です。起算日が「貸渡しの終了日」である点にご注意ください。予約日でも貸渡開始日でもありません。長期の貸渡しでは、開始から数えると2年を超えて保存が必要になります。
そして2年という期間には続きがあります。同じ通達の(12)が、毎年5月31日までの報告を定めています。
(12)前年の4月1日から3月31日までの期間に係る「貸渡実績報告書(様式1)」及び3月31日における「事務所別車種別配置車両数一覧表(様式2)」を毎年5月31日までに主たる事務所の所在地を管轄する運輸支局長あて提出しなければならない。
同通達 2.(12)。2026年9月3日に国土交通省公開のPDFで確認。つまり日々の返却処理で残した走行キロ数と料金が、そのまま年に一度の報告の数字になります。貸渡簿は保存のための記録であると同時に、報告の材料でもあります。5月に慌てて数字を作り直すことになるかどうかは、前年度の返却処理で決まっています。
事故に関する事項は、どこに記録するのですか?
別記1のケが定める記載事項ですが、レンタゲートには事故専用の記録欄がありません。貸渡証には事故・故障時の連絡先と遵守事項の文言を印字しますが、発生した事故そのものを記録する項目は用意していません。
現状は備考欄と社内の記録で扱っていただく形になります。9区分のうち、私たちのシステムが構造化して持てていないのはこの1つです。できないことは、できないと書いておきます。
レンタゲートでは、どこまで記録できますか
貸渡証の発行と、そこへの記録までです。出発メーター・帰着メーター・料金の合計・点検者と確認者を、スタッフの端末から記録できます。貸渡簿そのものを別記1の形で一覧出力する機能は提供していません。
- 返却の処理で、出発メーターと帰着メーターを数値入力またはメーターの写真撮影で記録します
- 料金は「予約料金+追加・変更」で合計が自動計算されます。追加分は金額と内容を書き添えられます
- 燃料の残量、車両状態の写真、お客様の電子署名も同じ画面で記録できます
- 発行時点の内容は控えとして保存され、あとから予約が変わっても交付した内容を再現できます
- 年度の集計と貸渡実績報告書・配置車両数一覧表の作成は、別製品のレンタコネクトが担当します
レンタゲートは、スタッフが持つ端末を主な操作端末にしたレンタカーの現場運用システムです。受けた予約を1つの画面に並べ、事前チェックイン・配車・出庫返却・貸渡証の交付までを1台で扱います。1営業所あたり月額30,000円(税別)、初期費用0円、最低契約期間はありません。
製品ページを見る →よくある質問
通達の別記1が9区分を定めています。ア借受人の氏名または名称および住所、イ運転者の氏名・住所・運転免許の種類・運転免許証の番号、ウ貸渡自動車の登録番号または車両番号、エ貸渡日時および時間、オ貸渡事務所・返還事務所、カ運行区間または行先および利用者人数ならびに使用目的(自家用マイクロバスの貸渡しを行う場合に限る)、キ走行キロ数、ク貸渡料金、ケ事故に関する事項です。貸渡原票を綴ったもので貸渡簿に代えることもできます。
先頭の5区分は同じで、違いは終わり方にあります。貸渡証はお客様にお渡しする書類なので、貸渡人の氏名住所と遵守事項が加わります。貸渡簿は営業所に残す記録なので、走行キロ数・貸渡料金・事故に関する事項が加わります。この3つはいずれも貸渡しが終わるまで決まらない項目です。
返却の処理をした時点です。走行キロ数は出発時と帰着時のメーターの差でしか出せず、貸渡料金は延長・追加補償・給油の精算まで終えて初めて決まります。つまり貸渡簿は、貸渡証と違って出発時点では完成しません。9区分のうち3区分が、返却待ちの状態で空いています。
翌年の貸渡実績報告書で、走行キロが実測ではなく推定に置き換わります。レンタコネクトの集計は3つの層を持っており、その予約に出発と帰着の両方のメーターがあれば実測を使い、無ければ同じ月の1貸渡あたり平均を使い、その月に実測が1件も無ければ既定値を使います。記録を落とすほど、報告書は推定で埋まります。
紙でなくても構いません。通達は「別記1の事項を記載する貸渡簿を書面又は電磁的記録により備え」と定めています。書面と電磁的記録のどちらでも要件を満たします。また通達は、貸渡原票を綴ったものによって貸渡簿に代えることができるとも定めています。
貸渡しの終了日から2年間です。起算日が貸渡しの終了日である点に注意してください。予約日でも貸渡開始日でもありません。長期の貸渡しでは、開始から数えると2年を超えて保存が必要になります。
毎年5月31日までに運輸支局長へ提出する貸渡実績報告書の材料になります。同じ通達が、前年4月1日から3月31日までの期間に係る貸渡実績報告書(様式1)と、3月31日時点の事務所別車種別配置車両数一覧表(様式2)の提出を定めています。日々の返却処理で残した走行キロ数と料金が、そのまま年に一度の報告の数字になります。
別記1のケが定める記載事項ですが、レンタゲートには事故専用の記録欄がありません。貸渡証には事故・故障時の連絡先と遵守事項の文言を印字しますが、発生した事故そのものを記録する項目は用意していません。現状は備考欄と社内の記録で運用していただく形になります。
できません。貸渡簿そのものを別記1の形で一覧出力する機能は、現時点では提供していません。提供しているのは、貸渡証の発行と、そこに出発メーター・帰着メーター・料金の合計を記録することまでです。年度の集計と貸渡実績報告書の作成は、別製品のレンタコネクトが担当します。
出典
法令の引用は、2026年9月3日に国土交通省が公開しているPDFで確認しました。
- 国土交通省 自旅第138号「貸渡人を自動車の使用者として行う自家用自動車の貸渡し(レンタカー)の取扱いについて」(平成7年6月13日/一部改正 国自旅第55号 令和4年5月31日、令和4年6月1日以降に許可するものから適用) https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001485360.pdf
本記事は法令の解説を目的としたものではなく、記載事項が業務のどの時点で確定するかを整理したものです。許可の要件や個別の運用の可否については、管轄の運輸支局または行政書士にご確認ください。